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消滅世界 セックスのない世界

書評

 

 

世界で一番恐ろしい発狂は、正常だわ。そう思わない?

 

 

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消滅世界 あらすじ

セックスではなく人工授精で、子供産むことが定着した世界。そこでは、夫婦間の聖行為は「近親相姦」とタブー視され、「両親が愛し合った末」に生まれた雨音は、母親に嫌悪を抱いていた。
清潔な結婚生活を送り、夫以外のヒトやキャラクターを恋愛を重ねる雨音。
だがその”正常”な日々は、夫と移住した実験都市・楽園で一変する…日本の未来を予言する傑作長編。

「家族」とは「結婚」とは

この作品の世界では結婚という制度はあるものの、夫婦でセックスをしません。

男も女も性処理は好きなアニメや漫画のキャラクター。

なので「ヒト」を好きになったことがあるのかという会話すら出てきます。

異性と一緒に暮らす意味を説いているシーンもあり、小説なのに現実味があって少し怖かったです。

「家に人がいるのって、なんだろう、精神的にいいものたくさんもらえるよ。
人生に絶対的な味方がいる感じっていうか」

「でもそれだけだったら友達とルームシェアでよくないですかー?」

一緒に住んでいる異性が、自分ではない人と恋をしていたり、デートをしていたりと、現代では考えられない感覚でこの世界は語られています。

完全なフィクションの物語ですが、異性との付き合い方や家族の在り方など、最近読んだ『男子劣化社会』と同じような疑問を抱きました。

男子劣化社会 男子は本当に劣化したのか?
男性は自分から女性を誘うことができなくなっている。こうすべきというはっきりしたルールはなく、ただ、しては行けないルールが山ほどあるだけだ。それをすれば、間違いなく悲惨な結果になるらしい…だったら、ごめん、ぼくはむしろゲームをするね。 男子劣...

実験都市 千葉

この作品では千葉県が「楽園(エデン)システム」の実験都市となっています。

毎年一回、12月24日、コンピューターによって選ばれた住民が一斉に人工授精を受けます。

受精する人間はコンピューターで管理され、健康面や過去に産んだ回数などを顧慮して選ばれます。

人口は増えすぎず、減りもしないように計算され、ちょうどいい人数の子供が産まれるように完璧にコントロールされているのです。

人工授精が当たり前になった世界で、セックスは人間が昔していた儀式と語られています。

『自分の子供』なんてものは存在しない。

どんなにお腹を痛めて生んだ子でも、それは人類の『子供ちゃん』なんだ

実験都市では子供は大人のことを全員「おかあさん」と呼び、大人は子供のことを「子供ちゃん」と呼びます。

「赤ちゃんカフェ」みたいだねと語られるその空間は、読んでいて少し気持ちが悪くなりました。

約束のネバーランドで食用児として育てられている子どもたちを見た感じ。

そんな「楽園システム」がしっかりとした設定で描かれていて、村田さんの世界観の作り込み方に驚きました。

消滅世界 感想


3~400年後にはこうなってるかもしれない。
もしかしたらもっと近い未来にこうなっている可能性もあるなと感じました。

 


「問いを体現するような小説。」
確かに考えさせられるというより、もう突きつけられていました。
自分の中にはないボキャブラリーだったので、勉強になります。

 

ぼくも村田沙耶香さんの作品は『コンビニ人間』から読みました。
その次がこの作品だったのですが、こっちの作品の方がインパクトはありますね。
他の作品も読んでみたいです。

まとめ

この作品の主人公は女性ですが、物語では旦那さんが出てきて、男性が妊娠するエピソードも描かれています。

本当に男女という境界がなくなった世界が表現されているので、少し現実の世界から離れてみたい人はぜひおすすめの作品です。

ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

書評小説
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