貧しいことに引け目を感じるようなうちは、まだまだ人間としてダメなんだ。
あらすじ
著者がコペル少年の精神的成長に託して語り伝えようとしたものは何か.それは,人生いかに生くべきかと問うとき,常にその問いが社会科学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問われねばならぬ,というメッセージであった.著者の没後追悼の意をこめて書かれた「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」(丸山真男)を付載.
ジブリが映画を製作する哲学小説
『君たちはどう生きるか』は1937年に岩波書店によって出版されていた作品。
岩波文庫から1982年に第1刷を発行されました。
2017年にマガジンハウスによって漫画で発行され、メディアでの紹介や子どもの読書感想文の課題図書になるなど、2018年にはamazon2018年和書ランキング 1位となりました。
原作は主人公のコペル君が日常で感じることについて、おじさんがノートに記してさまざまな考え方を説いてくれるという形式で物語が進みます。
取り上げられているエピソードはいじめや暴力、貧困といった社会問題。
コペル君の思考やおじさんの意見を通して、人としてどう生きるかを考えるきっかけとなる1冊になっています。
2023年7月14日にスタジオジブリが映画を公開することが決まっています。
この記事を書いている時点で、公開まで1ヶ月ないのですが、予告動画など全くありません。
HPもこの情報しかありませんでした。
映画の内容がとても楽しみです。
出版社は岩波書店
岩波書店は1914年に創業。
1927年には「岩波文庫」、 1938年には「岩波新書」を創刊します。
創業100年を超える歴史ある出版社です。
本棚に岩波文庫のベージュの背表紙が並んでると、テンション上がりますよね。
『君たちはどう生きるか』は2022年の岩波書店の文庫ランキングで5位にランクインしています。
書店のランキングを見てみるのも楽しいので、ぜひこちらから覗いてみてください。
著者の吉野源三郎さんってこんな人
今日は吉野源三郎の忌日(1981年)。小社社員として、岩波新書(1938年)『世界』(1946年)岩波少年文庫(1950年)の創刊に携わりました。代表作『君たちはどう生きるか』は、累計150万部のベストセラー。丸山真男による文庫版あとがきでは、吉野の人物像が垣間見えます。☞ https://t.co/CdXJsOvq9w pic.twitter.com/fi0JkDDsOs
— 岩波書店 (@Iwanamishoten) May 23, 2020
吉野さんは1899年(明治32年)生まれで1981年(昭和56年)に亡くなっています。
陸軍に入隊していたり、治安維持法で逮捕されたり、過酷な経験をしていました。
その後『君たちはどう生きるか』を刊行し、岩波書店に入社。
雑誌『世界』を創刊し、初代編集長に就任します。
ウィキペディアにたくさん情報が書かれていたのでぜひ見てみてください。
また、このようなインタビュー記事もあったので、吉田さんの人柄について興味のある人はぜひみて見てください。
『君たちはどう生きるか』はこんな人におすすめ
『君たちはどう生きるか』では哲学的な話がたくさん含まれています。
これからどうやって生きていこうか悩んでいる人にはおすすめです。
人としての振る舞い方、相手を思いやることの大切さなども描かれていることから、人間関係をもっと良くしたいと考えいている人は読むと新しい価値観が生まれるかもしれません。
著者が明治時代の生まれだったり、陸軍にいたこともあり、戦時中や100年前の考え方を学びたいと考えている人にとって参考になる作品ではないでしょうか。
今の時代に合わない考え方もあるかもせませんが、ほとんどが人としての本質について描かれているので、参考になると思います。
『君たちはどう生きるか』心に残った名言たち
自分の人間としての値打ちに本当の自信を持っている人だったら、境遇がちっとやそっとどうなっても、ちゃんと落ち着いて生きていられるはずなんだ。僕たちも、人間であるからには、例え貧しくともそのために自分をつまらない人間と考えたりしないように、ーまた、たとえ豊かな暮らしをしたからといって、それで自分を何か偉いもののように考えたりしないように、いつでも、自分の人間としての値打ちにしっかりと目をつけて生きてゆかなければいけない。貧しいことに引け目を感じるようなうちは、まだまだ人間としてダメなんだ。
最後の1行は落とし込めてないのだけれど、とても大切なことを言っている文章だと感じました。心から理解できるように生きようと思います。
世間には、悪い人ではないが、弱いばかりに、自分にも他人にも余計な不幸を招いている人が決して少なくない。人類の進歩と結びつかない英雄的精神も空しいが、英雄的な気魄を欠いた善良さも、同じように空しいことが多いのだ。
これはとても共感。誰も悪くない。ただ弱いというだけで、周りを巻き込んでしまう。強くなりたい。
こういう人たちの苦しみや不幸は、実は、自分勝手な欲望を抱いていたり、つまらない虚栄心が捨てられないことから起こっているのであって、そういう欲望や虚栄心を捨てれば、それと同時になくなるものなんだ。
無駄なプライドを捨てられたらって思います。
Twitterでの感想
『君たちはどう生きるか』についての感想をTwitterで検索してみました。
吉野源三郎『君たちはどう生きるか』
軍国主義に傾く1937年、当時の子どもたちに思想を越えた文化の豊かさや人類の信念があることを伝えようと編纂された日本少国民文庫のうちの一巻。コペル君の日常生活の出来事から叔父さんが認めるノートの記録には愛と想いが詰まっており、→#読了 pic.twitter.com/JaHILl9NFE
— いぬちゃん (@books_dairylife) January 19, 2023
今だからすんなり受け入れて読めるけど、当時の日本でどのように受け入れられたのか、受け入れられなかったのか、気になりますよね。こういう観点から見ると、歴史って面白い。
「君たちはどう生きるか」
人として生きる上で考えたい事が書いてあり勉強になった。
人は自分中心な物の見方をしてしまいやすい、苦労をしている人に対しての考え方、人それぞれの一生の価値や感じた事に対する考えの深め方などについて書いてあった。
#読書垢さんと繋がりたい pic.twitter.com/uRKJr7bZ12
— 甘党 (@hBvCzh8iIvyvklU) May 25, 2023
想像力や知識は優しさをもたらしてくれると思うので、いろんな人の考え方を学んでいきたいです。
累計164万部読み継がれてきた岩波文庫『君たちはどう生きるか』が、この度装いを新たにして生まれ変わりました。
この物語が世に出た1937年は、世界大戦の危機が全世界を暗雲のように覆っていた時代。
困難な時代を生きる私たちにも、この物語は切実さをもって響きます。
☞https://t.co/UNGWZfvlOm pic.twitter.com/9W4s8mOcdJ— 岩波文庫編集部 (@iwabun1927) May 16, 2023
新しく帯も発行されたそうです。いいですね。
まとめ
マガジンハウス取締役編集担当の鉄雄さんはこちらのインタビュー記事で「漫画にしたのがよかった」とおっしゃっていました。
原作を手にしようとする人はあまりいないかもしれませんが、漫画ならスラスラ読めてしまうことってありますよね。
漫画もスマホでスクロールするだけで読めてしまうので、社会問題を扱っている物語を漫画にするのはいい方法だと改めて感じました。
この作品がこれだけ有名になってのはなんでだろうって考えると、今の時代が自分の頭を使って考えないと生きていけないような時代になったからだと思います。
AIが発達した時代ですが、結局人間ができることは限られているので、このような本質を説いてる作品に惹かれるんじゃないのかなと感じました。
いい人間になれるように、考え続けて生きていこうと思います。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
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