下らないすれ違いは、人間の得意とするところではないのか
死神の精度 あらすじ
こんな人物が身近に現れたら、彼/彼女は死神かもしれません──(1)CDショップに入りびたり(2)苗字が町や市の名前と同じ(3)会話の受け答えが微妙にずれていて(4)素手で他人に触ろうとしない。1週間の調査の後、死神は対象者の死に「可」「否」の判断を下し、「可」ならば翌8日目に死は実行される。ただし、病死や自殺は除外。まれに死神を感じる人間がいる。──クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う、6つの人生。
この作品の死神とは
死神と言われて何を思い浮かべますか?
大きな鎌を持ったローブの骸骨?
オレンジの髪の毛で死覇装をまとい斬魄刀を振り回している人?
この物語では、死神は普通の人間の姿で登場し、仕事でひとりの人間の「死」について1週間調査をします。
1人の死神と6人の物語
この作品の目次はこちら
死神の精度
死神と藤田
吹雪に死神
恋愛で死神
旅路を死神
死神対老女
「吹雪に死神」は吹雪が吹き荒れる山奥の中で起こる殺人事件に千葉が関わることにより、予想外な展開が繰り広げられるお話。
「恋愛で死神」はと片想いをしている男性と、ストーカーの被害にあっている女性のお話。(あんまり死神は出てこないかも)
「旅路を死神」では千葉が指名手配中の容疑者の運転手役になってしまい、なぜ指名手配になったのか、事件の真相が旅をしながら明らかになっていくお話。
それぞれ異なった状況で死神が登場し、さまざまな年齢や性別の人間と関わっている死神は面白く、人間がよりいっそう人間らしく見えてきます。
おすすめは「死神対老女」
ぼくのおすすめは最後のお話の「死神対老女」。
このお話は「人間じゃないでしょ。」という老女の言葉から始まります。
死の予感がすると話す老女は、一生のお願いだからと千葉にあるお願いをします。
そのお願いを聞き入れてしまう千葉が人間に振り回される姿はちょっと面白いです。
実はこの老婆は別のお話との繋がりが感じられるシーンもありますので、ぜひ最後に読んでくださいね。
死神の精度 感想
一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。
鎌を手に持つ死神のイメージを根本から覆す。人間界を別視点で捉える手法が凄く面白かった。ラストは伊坂さんらしく秀逸です!
私達の苦悩は実はとてもちっぽけで、くだらないのかもしれない#死神の精度 #伊坂幸太郎 pic.twitter.com/DaNe8PeBha— 天泣 (@tenkyu1253) June 13, 2019
鎌を手に持つ死神のイメージを根本から覆す。
本当にそんなイメージは読んでいるとすぐになくなってしまうお話です。
全然怖いお話じゃないですよ。
#死神の精度
死神の精度ってどんな意味だろう?手に取った理由はこれです。
死神の千葉さんの巡る話が6作でした。「恋愛で死神」で泣きました。奇跡のような恋愛だったのに、こんなことってあるのかなぁって思うと悲しくてたまりませんでした。読むの辞めようかと思ったけど頑張って最後まで読んだら pic.twitter.com/wiiewU675v— 由宇 (@yu840312) April 24, 2019
「恋愛で死神」は素敵なお話です。
特に死に方が美しいなと思いました。
死神とこれから死を迎える人の物語を描いた連続短編でした
現実離れした千葉と人間の噛み合わない会話が、物語を読みやすくしてくれてます
ただ、噛み合わない会話の中に様々な核心があったのが非常に好きでした
伊坂さんのファンが多い事が、何となく理解できた気がします pic.twitter.com/Ix2BSIL4WD
— オカモト ジュンタ 読書好きでライターやってます (@promisepro04) February 8, 2021
噛み合わない会話の中に様々な核心がある。
死神対老女で語られる「特別じゃないけど大切なもの」のお話はすごく核心をついているなと思いました。
#死神の精度 #伊坂幸太郎 #読了 #読書好きな人と繋がりたい
死神目線で人間が観察されていて、ハッとされることが盛り沢山。「下らないすれ違いは、人間の得意とするところ」…納得。
死神たちが調査対象者の懐に入り込むのがとっても上手!「人はいつか死ぬ」という当たり前を噛み締められる作品。 pic.twitter.com/PjzNhGJbNr— ゆん📘読書 (@yun_dks) December 13, 2020
作品を一言で表す表現をこのブログでは冒頭に書いているのですが、ぼくと同じ部分を抜き出した方がいて驚きました。
「下らないすれ違いは、人間の得意とするところ」
とても共感できました。
死神の千葉は死期が近い人間を観察し、死を迎える事を可とするか見送るか判断するのだが。
人間とは?どう生きどう死ぬのか。考えさせられる深い本。けれど常にミュージックが寄り添うからか、重い痛みは少ない。続編も期待。#死神の精度
— さとしゅん (@satojun111826) December 12, 2018
『死神と浮力』という続編がすでに出版されています。
知り合いから『死神の精度』よりも重たいお話と聞きました。
同じく千葉さんが出てくるそうなので楽しみです。
まとめ
『死神の精度』は勝手に”電車の中で読む本”と決めた本でした。
あまり電車に乗らないため、1月くらいから読み始めたのですが、読み終わったのが4月の頭になってしまいました。
一気読みできるくらい、世界観に溶け込める作品でしたが、少し時間をかけてゆっくり死神と関わるのも面白かったです。
人間を観察するのが好きな方はおすすめです。
ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!
コメント