ブラックボックス 第166回芥川賞受賞作品

書評

 

 

ずっと変わらない毎日を変わっちゃいけない毎日だと思い込もうとしてたから苦しかった気がするんだよなあ

 

 

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ブラックボックス あらすじ

ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。

自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。

昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。(本書より)

気鋭の実力派作家、新境地の傑作。

第166回芥川賞受賞作品

砂川文次さん 「ブラックボックス」で芥川賞
芥川賞を3度目の候補で射止めた。「(これまでの候補作では)足りなかった個人を深掘りすることを考えた」。受賞作「ブラックボックス」の主人公は、東京都心を自転車で駆け抜け荷物を配達するメッセンジャーの男性。「観念的にならず、人物につかず離れず書くことを意識した」働きに見合った収入や一定の充実感は得られるものの、自身の脚だけ...

『ブラックボックス』は2022年1月19日に第166回芥川賞受賞を受賞しました。

メッセンジャーという自転車で荷物を運ぶ仕事をする若者が主人公。

週5で8時間フルタイムで働くといったような定職につかない若者の、「不安」や「恐怖」の心情がとてもうまく描かれていて、若者には刺さるのではないかと思いました。

ブラックボックス こんな人におすすめ

『ブラックボックス』の主人公はメッセンジャーというUberEatsのような仕事をしています。

また、主人公は転職を何度もしている青年です。

なので、これから就職をしようとしている大学生には刺さるのではないでしょうか。

ちゃんとしなきゃいけないと頭ではわかりながらも、行動に移せないすごく人間的な一面がある主人公。

何かを変えたいけど変えられないと悩んでいる人には、刺激がある本かもしれません。(ハッピーエンドではないのでプラスになるかはわかりませんが)

心に刺さった言葉たち

まだ若い、という周囲からの言葉と無限にあるように思える時間に胡座を描いている間にどんどん色々な物が錆びついてそう遠くないうちにのっぴきならない状況に追い込まれるかもしれない、とサクマは肌で感じる。
仕事を終えてのんびりと家路に着く時、うっかり立ち寄ったマックでバーガーにかぶりついている時、シャワーを浴びている時、SNSを無意味に徘徊している時、いつでもそんな不安が、恐怖の日々がクラックから顔をのぞかせる。

 

まだ若いから…って言葉は26歳のぼくもよく言われます。30歳になったら急に言われなくなって、自分よりも歳下の人たちを引っ張っていく番になると思うと背筋がピンっとなりますね。そんな不安や恐怖って人間誰しもあると思いますが、文字にするとすごいプレッシャーです。

 

ちゃんとするってなんだ。

 

この言葉、すごい哲学ですよね。ちゃんとする。一番最初に思いついたちゃんとするは「約束を守る」でした。時間を守る、やると言ったことをやる。意外とできていない人多いと思います。皆さんは何が思い浮かびますか?

 

決まりきった日々の末に揺るぎないゴールが存在しているというのは、外にはなかった。

 

刑務所にいるときの主人公の言葉。
刑務所では何日罰を受ければ釈放というゴールが待っているのに、外の世界に出るとそういったゴールは何も設定されていない。日本の学校でも、同じような感覚になるのかなと思います。テストで点数をいい点数を取っていたら認められるのに、学校という共同体から出た瞬間に、ものさしは人それぞれ場所によって異なってしまう。

ブラックボックス 感想

 

 

税とか保険とか「大人」の制度って、誰も教えてくれないんですよね。自分で勉強するしかなくて。いい大学出ていい会社に就職した人も意外とよくわかっていない人って多い。20代の自分からしたら他人事じゃない感じがして、読んでいてけっこう焦る作品でした。

 

 

『ブラックボックス』には「コロナ」という単語が普通に出てきます。本当に今の日本でありそうな、小説じゃなくて実話なのかなって思うくらいリアルな話でした。

 

 

漠然とした不安ってありますよね。具体性のない願い。もっと稼がなきゃ。もっとスキルを身につけなきゃ。そこに具体性はなくて、なんとなく、焦る。別にもっと稼がなくても、もっとスキルを身に付けなくても生物的には生きていけるのに、焦る。生きるって本当に難しいですね。

まとめ

『ブラックボックス』は芥川賞取ったから読んでみようと思った作品でした。

「こんな感じの本なのね」というのが読了後の感想。

数日経ってから、じわじわ主人公の不安や葛藤を思い出してしまい、漠然とした焦りを感じました。

みんな一生懸命生きてるけど、「ちゃんと生きる」って難しいですね。

戦争を描いている作品と同じように、今のコロナの時代を生きる若者の例として忘れちゃいけない作品な気がします。

ぜひ手に取ってみてください。

ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

 

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