よく今の子どもは芯がないとか、すぐに挫折するとか言われますが、子供をダメにしているのは教育の方なんじゃないででしょうか。
ルポ 誰が国語力を殺すのか あらすじ
『ごんぎつね』の読めない小学生、反省文の書けない高校生……
子供たちの言葉を奪う社会の病理と国語力再生の最前線を描く渾身のルポ!
「文春オンライン」200万PV突破の衝撃ルポ「熊本県インスタいじめ自殺事件」を含む、現代のリアルと再生への道筋に迫った瞠目のノンフィクション!
今、子供たちを救えるか? 未来への試金石となる全日本人必読の書
ルポ 誰が国語力を殺すのか 国語力とは
国語力とはなんなのでしょうか。
この本では文科省の定義によって国語力について書かれています。
文科省の定義によれば、国語力とは「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」の四つの中核からなる能力としている。
これを見たとき、コミュニケーション能力といわれるものは、国語力なんだろうなと思いました。
相手が自分の発言を受けたときにどういう気持ちになるのか想像し、その時やその場所にあった適切な言葉を考え、それしっかり相手に表し伝え、相手のリアクションを感じる。
無意識のうちにやってることだと思いますが、人との会話はこれの繰り返しですよね。
コミュニケーションがうまい人は国語力が高いのではないかなと思うのですが、みなさんどう思いますか?(国語力が高いからといってコミュニケーションがうまいとはならないかも)
ルポ 誰が国語力を殺すのか こんな人におすすめ
学校の先生はこの作品とても共感することが多いと思います。
国語の先生はもちろん、学校教育の仕組みについてもたくさん描かれていて、現場の声も載っています。
中学生や高校生くらいまでの子どもを育てている親御さんにもおすすめです。
この前中学生のお子さんがいる女性にこの本のことを話したら、「ほんとにうちの子、ヤバいとかエグいとかしか言わないの」って言ってました。
子育ての方法が書いてあるわけではないですが、自分の子どもと同い年の人たちがどんな環境にいるのかいい面でも悪い面でも知ることができるのではないでしょうか。
塾の先生やフリースクールなどに関わっている人にもおすすめです。
フリースクールの取り組みについても書かれているので、参考になると思います。
ルポ 誰が国語力を殺すのか 心に刺さった言葉たち
私が思うに国語力とは、社会という荒波に向かって漕ぎ出すのに必要な「心の船」だ。語彙という名の燃料によって、情緒力、想像力、論理的思考をフル回転させ、適切な方向にコントロールするからこそ大海を渡ることができる。
国語力とは心の船。泥舟だとすぐに沈んでしまう。しっかりと目的地へと進めるような船を形成していきたい。
正直に言って、今の学校教育のやっていることはズレていると思います。生徒は中身がスカスカなのに次から次に新しいことばかり上から被せようとする。これじゃ、基礎能力のある子はできるようになりますが、そうじゃない子は逆に負担に耐えられなくなってつぶれるだけです。よく今の子どもは芯がないとか、すぐに挫折するとか言われますが、子供をダメにしているのは教育の方なんじゃないででしょうか。
ある先生のインタビュー。学校の先生の口から教育が子どもをダメにしていると言わせてしまっている現状。一刻も早く何か手を打たないと本当に手遅れになってしまう気がする。
文科省も、学校も、親も、みんな結局は成果主義なんですよ。すぐに形として表れる結果ばかり追い求め続けている。だから、もっともっとという具合に新しいことをやろうとする。国語力を育てることって成果主義とは真逆で、目に見えないものなんです。一つの詩を丹念に読み込んで感動の涙を流しても、テストの点数に結びつかないし、資格を取得できるわけでもない。でも、そうやって内面で育ててきたものがあるからこそ、何十年か先に誰も想像しなかったような素晴らしい人間性を持てるようになるんです。
大切なことって時間もかかるし、目に見えない。それをないがしろにして生きていきたくない。何が必要なんだろう。子どもを、相手を、信じることなのかな。
今の子供たちは「答えのない時代」に生きているのだという。一時代前は幸福には決まった形があったが、今はそれがない。一流大学に合格しようとも、結婚して子供をつくろうとも、高級車やマイホームを手に入れようとも、それが幸福かは定かではない。
そんな時代の中でしなければならないのは社会からどう言われようと、自分が好きだと思えることを見つけ出すことだ。この時に大人ができるのは、子供が胸の奥底にある自分の本心を見つめられるよう手を差し伸べることだろう。無理に学校へ行かせるのではなく、感じる力を刺激し、子供の自発的な意識を歓迎し、行動に移すための手伝いをする。その経験が積み重なった時に初めて、子供たちは幸せを手に入れる力をつけられる。
「自分が好きだと思えることを見つけ出す」ことができない人は多い。だからやりたいことの見つけ方みたいな本が売れる。内省とか言語化とか、そこには国語力が関係してくる気がする。
新聞記事に「この世から剥離しかけた人を、最後にこの世に繋ぎ止めるのは、言葉だと信じている」とあったが、その通りだと思う。思いやりのある言葉は自己肯定感を保つための自分の支えとなり、人は他人からの良い評価で自己肯定感を高めることになる。自己完結できる自己肯定感を理想としながら、どこかで自分に寄り添ってくれる他者からの言葉を待っている。言葉は形はなくても、相手の存在を示し、支えてくれるものだと思う。だから、私は言葉を大切にしていきたい。(一部を抜粋)
言葉を大切にしたいとあらためて教えてくれた言葉でした。
ルポ 誰が国語力を殺すのか 感想
ルポ誰が国語力を殺すのか
石井光太/#読了家庭格差が言葉の力の差を生み、成長した子どもたちは社会の波に呑まれ能力が無ければ切り捨てられ貧困や犯罪に繋がる。取材を通して子供たちの国語力をめぐる実情から、日本社会の根底に横たわる問題まで掘り起こした渾身のルポ。現状に衝撃を受けました。 pic.twitter.com/cHqReNnQdL
— ばたやん@読書垢 (@6ZSwW3Y2OfbEmGL) February 8, 2023
家庭の影響は絶対にありますよね。学校も塾も地域の人たちも、個人の家庭の教育方針にはなかなか踏み込めない。
『ルポ 誰が国語力を殺すのか』石井光太・著(文藝春秋)を読んだ。
成長の過程で然るべき時期にきちんと言葉を身に付けられないと、まともに考えることも出来なくなる。
人は言葉で思考するからだ。
「ウザい、エグい、ヤバい」しか語彙がない子が増えているという。
信じられないが、事態は深刻だ。— 英文学をゼロから学ぶ (@shakespeare_ni_) January 15, 2023
語彙力って大切ですよね。話し言葉と書き言葉は違うので、適切な時期に発達にあった内容の本をどれだけ読んでいたかは大きいと思います。
国語力がいかに大事で、子供たちの国語力がどう弱くなっているか書かれている。そして学校などが行っている対策も。帯に「全日本人必読の書」とあるが、全く大げさではないと思う。#誰が国語力を殺すのか #ルポ誰が国語力を殺すのか #読了 #石井光太 pic.twitter.com/MW21tfpQBS
— Nana (@himawari_999999) November 14, 2022
全日本人必読の書。日本の現状の一部を覗いてみてほしい。
ルポ誰が国語力を殺すのか まとめ
日本の国語力について書かれている本を聞くと、衰退をイメージする人が多いと思います。
しかし、この作品にはある中学校の素晴らしい取り組みも描かれているのです。
そのひとつに答えのないテーマに対して意見を出し合うという「哲学対話」というものがあります。
例えば、「なぜ差別が生まれるのか」「生きるとは何か」「いいことをしても報われないのはなぜか」などのテーマについて議論を3年間続けるそうです。
あるテーマについて、自分の意見をはっきりと言え、議論できる環境が日常にあることってすごいですよね。
実は今ぼくが所属しているコミュニティでは毎朝7:30~8:30にシェア会をしています。
そのコミュニティの人たちが「こんなことがあった」、「これからこんなことをしようと思っている」、「これについてみんなはどう思ってる?」いろんな出来事を共有し、それに対してフィードバックをし合うという時間です。
参加者は中学生ではなく大人。子育てをしながら参加している人たちもたくさんいます。
ただおしゃべりをする場ではなく、ファシリテーターがいて、挙手制で発言者とフィードバックする人をちゃんと振り分けられられる安心安全の議論の場。
人のシェアを聞いてるだけでもとても勉強になる時間です。
ぼくは26歳からこのコミュニティに参加していますが、同じようなことを中学生がしていると考えると、本当にすごいなと感心の言葉しか出てきません。
自分の考えていることを発言でき、それに対して意見を言ってくれる場というのは大人になるとなかなかないものです。
冒頭にも書いたある先生の「よく今の子どもは芯がないとか、すぐに挫折するとか言われますが、子供をダメにしているのは教育の方なんじゃないででしょうか」というコメントがとても悲しいなと思いました。
教育はぼくが生きていくうえでもとても興味のあるテーマです。
大人が子どもをダメにしているような社会になっていて欲しくないと思うのと同時に、自分が関わる子どもに対して何か役に立つことがあればいいなと思います。
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