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滅びの前のシャングリラ 本屋大賞2021年のノミネート作品 

書評

 

 

神さまが創った世界で叶わなかった夢が、神さまが壊そうとしている世界で叶ってしまった。
ねえ神さま、あんた本当に矛盾の塊だな。

 

 

 

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滅びの前のシャングリラ あらすじ

 「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。
なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」
一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのか――。

圧巻のラストに息を呑む。2020年本屋大賞作家が贈る心震わす傑作。

地球が滅亡する前のカオスな状況がリアルに表現

この作品は小惑星が地球に落下し滅亡することが決まった1ヶ月間のお話です。

人々は働くのをやめ、食料や電池、住処の奪い合いが始まります。

炎や煙は立ち込み、お店のガラスは割れ、死体やゴミなどの異臭を放つ街の情景は、想像しただけで恐怖でした。

さらに

自分を表現し続けるアーティスト。

何もうやることがなく自分を支えるために回線を復旧させ続けるシステムエンジニア。

自分の死に様を配信する若者。

感染症が拡大している今の世の中、その世界でも起こり得る人々の動きがリアルに表現されていました。

印象に残った言葉たち

笑いは一番簡単な団結であり、団結することで自分たちを正当化しようと必死だ。

人は1人では生きていけない。
誰かと一緒に団結して生きていかなければならない。
それを象徴しているような一文で、すごく印象に残っています。

小学生のころ、少ない服を着回していルことをクラスメイトにからかわれたことがある。そのとき、うちは貧乏なのだと知った。不幸はいつも他人の目や口によって露わにされる。

最後の一文が辛い。
自分でもわかっているつもりなのに、それを他人というフィルターを通すことで顕著に認めなければならなくなる現実。
見たくないな、と感じました。

若い時に聴いた音楽は忘れない。
どれだけ時間が過ぎようと、ふと聴くと耳を引っ張られる。

惚れた人を表現しているときの言葉。
すごくしっくりして学生時代のことを思い出しました。

滅びの前のシャングリラ 感想

 

死ぬのがいつかわかったら、それまでどうやって生きようか考えますよね。
いつ死ぬか分からないからダラダラと生きてしまうかもしれないと感じました。

本当にリアルでした。
こういうパニックが起きる作品を創る人の想像力は素晴らしいですよね。
動物としての人間が露わになっていく光景に恐怖を感じさせられます。

ぼくも静香の生き方はかっこいいなと思いました。
親子、特に母と息子の親子愛の物語はすぐ涙が出てしまいます。
Ayaさんのブログすごく好きなので、今これを読んでいる方はぜひ読んでみてください。

 

読んでいる途中から、最後はどうなるのかなと気になる方も多いと思います。
ぼくは納得のいくの終わり方でした。
この3ページに2ヶ月かける熱量、プロの方には尊敬しかないです。

まとめ

この作品は初回限定でスピンオフ短編の『イスパハン』も付いていたそうです。

すごくよかったという声が多いので、購入を検討しようと思います。

ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

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