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流浪の月 この世界に名前のない関係

書評

 

 

わたしと文の関係を表す適切な、世間が納得する名前は何もない

 

 

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流浪の月 あらすじ

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。
それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。
再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。
新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

流浪の月 2020年本屋大賞ノミネート作品

『流浪の月』は2020年の本屋大賞を受賞をしています。

先日、2022年に広瀬すずさんと松坂桃李さんのW主演で映画化されることが決定しました。

ここにきてまた一気に衆目を浴びた作品で、映画化が決まり、映画を見る前に読んでみたいと購入している人たちを何人かみています。

ぼくはブックオフで綺麗な状態のものを700円で購入できたので、ぜひお近くの本屋さんでチェックしてみてください。

わかってくれる人がいない悲しみを訴え続ける作品

この人は悪くないんです。優しい人なんです。何もしてないんです。

そう訴えるも誰にもわかってもらえず、被害者として扱われてしまう主人公の更紗。

本当に何も悪いことをしておらず、犯罪者として扱われてしまう文(ふみ)。

何年経っても誰にもわかってもらえず、犯罪者と被害者という烙印を押された2人の悲しみが伝わってくる作品となっています。

刺さった言葉

「大人になったら、ルールを守らなくてもよくなるの?」

「大人になったら、今よりもっとたくさんのルールに縛られるのよ」

夕飯にアイスクリームを食べちゃだめと言われた子どもが、夕飯にアイスクリームを食べている更紗を見て尋ねた言葉です。

すごく皮肉というか、社会ってこうだよなって感じました。

頼りになる身内がいない人間にとってさ、彼氏は恋愛以上に、普通の社会生活送ってくための必需品でしょ。引っ越しとか入院とか、いざってときの保証人になってくれたり。普通に考えて、友達は書類に判子押してくれないからね。押してとも頼めないし。

かなり生々しい表現だなと感じたシーン。弱い生き物は強い生き物にすがって生きているような感じがして、生きるということを実感させられます。好きになった人がこんな風に思っていたらちょっとショック。

ひとりのほうがずっと楽に生きられる。それでも、やっぱりひとりは怖い。神様はどうしてわたしたちをこんなふうに作ったのだろう。

どこに行っても人間関係の悩みは尽きないですよね。どんな仕事も結局コミュニケーションなんだなと思います。

流浪の月 感想

 

 

きっとリアルの世界に同じ経験をした更紗が現れても、この作品に出てくるような大多数と同じ見方をしてしまうだろうなと思いました。すごく切ないですね。こんなふうに感じさせてくれる作品に触れることができてよかったなと思います。

 

 

愛なんだけど、異性の2人にとって恋愛ではない愛。家族よりも重く必要とされている愛。目にも見えないし、名前もない、2人の関係がすごく尊いなと感じました。

 

ほっといてあげて。こんなふうな感情が出てくる作品はあまりないなと思いました。周りの心配している善意が、本人たちにとって苦痛になる。もしこの作品を持っている人はP239~P240にかけての問いについて考えてみてください。この問いにぼくは「仲間」と答えたい。

まとめ

読み始めて数ページで、「この作品は好きなタイプな物語だ」と感じました。

凪良ゆうさんの作品は、『滅びの前のシャングリラ』の次で2作目です。

とても読みやすいく、共感しやすい物語となっているので、切なさややるせなさを感じたい人はぜひ。

ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

書評小説
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