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となりの脳世界 コンビニ人間の著者村田沙耶香のエッセイ

書評

 

 

小説は私の救いだった。
なぜ思春期を乗り越えることができたかといえば、「不完全な大人」らしき人が書いた、自分より絶望した人間の言葉が、本の中にあったからだった。

 

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となりの脳世界 あらすじ

人と違う正座の語りで座っていたり、ぬいぐるみの「山田」を飼い始めたり、小さな頃の思い出やコンビニバイトのことなど、デビューから今まで各紙誌に書いたエッセイを厳選した決定版。文庫にあたり新たなエッセイ15本を追加収録。読み終えると世界が広がる。

ぶっ飛んでいる村田沙耶香さんの頭の中がわかるエッセイ

『となりの脳世界』は村田沙耶香さんのエッセイです。

『コンビニ人間』や『地球星人』など、「普通」や「性別」の根底を覆される小説を書いている村田さん。

そんな彼女のエッセイはどんな感じなのかと読んでみましたが、小説で感じた独特の感性が詰まっていて、全部のお話を楽しむことができました。

「あー、わかるー」と感じるエピソードもあれば、「この人こんなふうに考えて生きてるのか、すげー」と関心してしまう物語もあります。

小説のぶっ飛び感がエッセイになってる感覚。

過激な表現もないので、小説のやばさに抵抗を感じている方はぜひおすすめです!

心に刺さった言葉たち

ルールやマナーは大切だが、何も考えずにそれに頼ると、変な人間になってしまう。変なことは悪いことではないので、別になってもいいのだが、ルールに甘えて思考停止することは、楽だけれど危険なことだと、その時から思うようになったのだ。

 

変なことは悪いことではないってはっきりと言えることがすごいなって思ってしまった。集団でいるとき、変=悪になりやすいので、改めて変んなことは悪いことではないんだなと感じました。

 

私は、何も考えず、双方の事情も聞かず、「なんとなく正しいことになっている」方を応援するのが、怖かったのだと思う。敵が死んだ時、皆と歓声をあげている自分に、心のそこから納得することができなかったのだと思う。だから、大人になった今、スポーツで右側や上側を応援してしまうのではないか?

 

「なんとなく正しいことになっている」が世の中にありすぎて、あまり意識したことがなかったです。先程の文章もそうですが、当たり前のことに対して疑問を持ったり、ちゃんと自分の頭で考えていることで、素晴らしい文章が書けるんだなぁと思いました。

 

完璧なパジャマに身を包んで、私はこの日曜日も、二十時間ほど眠って過ごしてしまった。ぐうたらと言われるかもしれないが、完璧なパジャマを手に入れてしまったのだからしょうがないと私は思っている。理想のパジャマと出会ったら、誰でもそうなるに違いないのである。

 

かわいい。しょうがないよね。

 

だからこの映画は、私にとって、特別な映画なのかもしれない。(中略)
毎日の生活の中で必死に大人を演じ、真面目に、まともに、常識的に、ルールを守って生きなくては、と肩に力が入って、いつの間にか心がガチガチになってしまっているとき。歌いながら、踊りながら、キスをしながら、「それじゃもったいないよ。人生を、生きていることを、楽しもうよ」とおどけながら囁いてくれる。

 

必死に大人を演じているという表現が好き。
村田さんが一番好きな映画は『もう一度アイ・ラブ・ユー』という映画だそうです。
見たい。

 

私自身が興味あることはかなり限られていて、他者がいない世界でそこに閉じこもっていると、同じ感覚、同じ言葉、同じ出来事の繰り返しになってしまう。だから、誰かを通じて違う世界を搾取したいといつも思っている。

 

この感覚はすごくわかる。
自分の世界を広げてくれるきっかけは何気ない人の一言だったりしてます。
この感覚を忘れずに生きていきたい。

となりの脳世界 感想


ほんと、この人はどんなふうに世界を見ているんだと思ってしまいますよね。

『となりの脳世界』すごく楽しい世界をの覗くことができました。

 


普段は意外と普通だったら面白いですよね(笑)

ちゃんとぶっ飛んでで好きです。

 

これまで見えなかったようなものが見えるようになる感覚ってすごいいいですよね。
日常では触れることのできない作品って感じがすごくします。

まとめ

ぼくは村田沙耶香さんが大好きです。

『コンビニ人間』『消滅世界』『地球星人』しかまだ読んでいないけれど、どの作品もぶっ刺さっていて、今までの常識とか当たり前とか、全部取っ払ってくれる感じがします。

どの作品も設定がすごい。

コンビニでしか働けない人間、自分のことを宇宙人だと思っていて人間のふりをしていると思い込んでいる人間、人工授精が100%の世界になり人口を全てコンピューターで管理している世界。

少し過激な性描写もあって賛否両論ありますが、ぼくはすごいという驚きしかありませんでした。

『となりの脳世界』はそんな村田さんの頭の中が見える作品です。

村田さんのフィルターを通して世界が見えたような気がして、とても楽しかったです。

姉妹本に『わたしの食べた本』という作品があるそうなので、読んでみようと思います。

ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

書評エッセイ
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