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明るい夜に出かけて ラジオ好きな青年と生きづらさ

書評

 

 

ナマで聴くしかないだろう。どこへ行くかわからないんだ。まさに秒単位で世界が変わっていくんだ。自分が変えることだって可能だ。短いメール一本で。

 

 

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明るい夜に出かけて あらすじ

富山(とみやま)は、ある事件がもとで心を閉ざし、大学を休学して海の側の街でコンビニバイトをしながら一人暮らしを始めた。バイトリーダーでネットの「歌い手」の鹿沢(かざわ)、同じラジオ好きの風変りな少女佐古田(さこだ)、ワケありの旧友永川(ながかわ)と交流するうちに、色を失った世界が蘇っていく。実在の深夜ラジオ番組を織り込み、夜の中で彷徨う若者たちの孤独と繋がりを暖かく描いた青春小説の傑作。

SNSのうまい付き合い方

この作品の主人公はSNSでの事件がきっかけで大学を休学しています。

ラジオが大好きな主人公は、内向的でうじうじしているようなキャラクター。

コンビニでアルバイトをしているのですが、そこで繋がる人たちによって主人公が少しずつ変化していく物語です。

コンビニの同僚に対する主人公の感情や、目に見えない相手の雰囲気や関係性などがうまく表現されていて、共感する場面が多い作品でした。

こんな風に自分の感情を言葉にできるようになりたい。

ラジオの素晴らしさ

みなさんはラジオを聴きますか?

YouTubeの次は音声メディアなんて言われてますね。

ぼくはVoicyというラジオアプリをたまに聴いたり、AmazonAudibleで本を聴いたりしていますが、いわゆる深夜ラジオというものにハマったことはありません。

アルコ&ピースやくりぃむしちゅーなど、実際に放送されたラジオ番組の話も小説の中に出てきます。

ラジオのことをまったく知らないぼくでもこの作品は読みやすかったです。

自分が好きなものが小説に出てきて、それが語られるのってすごくワクワクしますよね。

ラジオが好きな人はこの主人公の気持ちに共感するんじゃないでしょうか。

心に刺さった表現

 

もう一つの世界。ラジオ。俺の領域。現実の日常から切り離しておきたいサンクチュアリ。虹色ギャランドゥが現れてから、二つの世界が目に見えない領域でじわじわと重なっていくみたいで恐ろしい。

 

現実の日常とSNSの世界が混ざり合うのって怖いですよね。
ぼくも少しずつTwitterの世界が現実に混ざりつつあるので、怖さを感じます(笑)
SNS→現実世界なら出会いが広がって楽しいのですが、現実世界→SNSは怖すぎますね。

 

あーあ、人間って面倒くせえな。俺は人間をやりたくないよ。猫にでもなって、冷たいタイルの床の上で丸まって寝てたいよ。他のヤツのこととか、あれこれ考えたくない。疲れるから。削られるから。最後は自分に返ってくるし。一番考えたくないのは、俺自身のことだから。

 

この表現は全人類が共感してくれるのでは?と思いました。特に最後の一番考えたくないのは俺自身だからってところがぶっ刺さりました。自分と向き合うのってほんとつらいですよね。あー、人間めんどくさい!(笑)

 

上から目線で高圧的に出られると、引いちまう。争ったら負けるというより、争うこと自体がストレスで、いいやってなっちゃう。けど丸ごと飲みこんで平気なのかっていうと違う。要するに、ただ、うじうじしてる。

 

そうなんですよ。争いたくないけど、全部受け止め切れるかと言われたらそうではないので、結局自分が瀕死になるんですよね。すごくわかります。

明るい夜に出かけて 感想

 


「ナマで聴くしかないだろう。どこへ行くかわからないんだ。まさに秒単位で世界が変わっていくんだ。自分が変えることだって可能だ。短いメール一本で。」

このブログの文頭で紹介した表現。数時間投稿の時間がズレるだけで価値が下がってしまうSNSですが、ラジオはもっと早い秒単位の世界のメディアなんだと時間できました。”いま”を共有するって本当に大事ですね。

 


等身大のまま救われるって確かにあまりないお話だなと思いました。キラキラの青春ものがしっくりこない人はピッタリってポップを見たのですが、まさにそれです。

 


小説という物語の世界の中にも入れるし、実在するラジオという文化の中にも入れるので、とても素敵な作品です。ラジオすげーって思いましたね。

 

まとめ

佐藤多佳子×アルコ&ピース(平子祐希&酒井健太) 深夜ラジオの流れる青春小説 | 対談・鼎談 | Book Bang -ブックバン-
右から平子氏、佐藤氏、酒井氏 小説の中にオールナイトニッポン…

ぼくは表面的には周りの人とうまく過ごせるように気を使いまくっている人間なので、ちょっとしたことがあるとボロが出てしまうことがあります。

この作品は、不器用でうじうじしている青年の感情がうまく表現されていて、ぼくにとってとても共感できる作品でした。

このうじうじした生まれ持った性質とうまく付き合っていこうと思ったのが、文章を書くようになったきっかけです。

これからも自分ならではの感情を言葉にしてきたいと思います。

こちらの記事ではアルコ&ピースのお二人と佐藤さんの対談がまとめられています。

アルコ&ピースはラジオというか世界観がすごく好きで、見ちゃうんですよね。

この記事にはどんな思いで佐藤さんがこの作品を書いたのかも記されていますので、この作品を読んだあとにぜひ読んでみてください。

ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

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