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選んだ孤独はよい孤独

書評

 

 

おれが逃してやる

 

 

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選んだ孤独はよい孤独 あらすじ

地元から出ないアラサー、女子が怖い男子高校生、仕事ができないあの先輩……。誰もが逃れられない「生きづらさ」に寄り添う、情けなくも愛すべき男たちの「孤独」でつながる19の物語。

「女のリアル」の最高の描き手・山内マリコが、
今度は「男のリアル」をすくいあげる、新たなる傑作登場!

男性目線の短編集

この作品は男性目線で語られる短編集です。

物語は全部で19編。

3行で終わる大喜利のような物語もあれば、さまざまな視点からひとりの人物を描いてる物語など、全く違ったタイプの物語が詰まっていて、すぐに読み終えてしまいます。

パートナーや恋人と一緒に読むと、深い話ができる作品だな〜と思いました。

物語の紹介

地元から出ないアラサー

女子が怖い高校生

仕事ができないあの先輩

幅広い男性の物語が詰まっている作品です。

なかには女性の視点が強く描かれている物語もあり、男性はそんなときこう感じるよね、と共感してしまうシーンもありました。

ぼくがとても印象に残っている物語をひとつだけ紹介しようと思います。

「おれが逃してやる」

26歳の主人公は夢を諦めて社員が10人もいない零細企業に就職します。

仕事を教えてくれるのは30代半ばの館林さん。

サラリーマンとしての生き方をいろいろ教えてくれる館林さんが本当にリアルでした。

「社会人になると、毎日は忙しくなるけど、人生って意味では、暇なんだ。仕事は人生の、便利な暇つぶし。マッチポンプみたいなもんだ。仕事しないと金は稼げない、金がないと生活ができない。だから仕事さえしてれば生活はできるし、間が持つ。でも、仕事してるだけだから、すぐに飽きてくる。そこそこいい年になると、かなり飽きてくる」

上司が家庭を持つことやローンを組んで家を建てることがいいことだと説いてくると館林さんは主人公に伝えます。

お前は無難なサラリーマンの人生を歩みたいか?それとも何かやりたいことがあるのに無理して諦めようとしているのか?

主人公にそう問いた館林さんは言いました。

「逃げろ。いま逃げろ。おれがお前を逃してやる」

この言葉にすごく痺れました。

主人公がその後どうなったのかは、ぜひ作品を手にとってお楽しみください。

選んだ孤独はよい孤独 感想


「彼氏に同情すべきか、彼女の成功を喜ぶべきか悩む作品」って今までに出会ったことないです。

こんな風に作品をまとめている人を見て驚きました。
男性の視点、女性の視点、両方から楽しめるのでこの作品は好きです。

 


「おれが逃してやる」はほんとに刺さりました。

「あるカップルの別れの理由」もすっごくリアルで、どっちの気持ちもわかるのですごく考えさせられます。

 


2021年の10月6日に文庫本が発売されました。

なんと文庫本には22編の物語が!3編増えてる!!
ぼくは単行本で読んだので、機会があったらこの3編も読んでみようと思います。

まとめ

ご迷惑をおかけしています!

作者である山内マリコさんがこの作品についてインタビューされている記事があることがわかりました。

2018年7月31日に発売された週刊SPA!に掲載されていて、Kindle Unlimitedを契約している人は無料でダウンロードすることができます。

マクロな視点で大きいな物語を描けるのは男性作家の強みだけど、もうちょっとミクロな視点で、男性が自分自身に向き合う小説があってもいいのでは

どうしてこのような作品が描かれていたのか、物語に出てくる主人公たちはどうやって描かれたのか、作品が作られる背景が山内マリコさん本人の口から語られていて、この作品が好きな人は読む価値があるページです。

ぼくはたまたま契約していたので、読むことができました。

雑誌のアーカイブってすごいなと思いましたね。

もしKindle Unlimitedを契約していない人はAmazonで中古の雑誌が買えるらしいので、ぜひ読んでみてください。

ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ではまた!

書評小説
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