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ふたご

書評

 

お前の居場所は、俺が作るから。泣くな

 

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あらすじ

いつも一人ぼっちでピアノだけが友達だった夏子と、不良っぽく見えるけれども人一倍感受性の強い、月島。

彼は自分たちのことを「ふたごのようだと思っている」と言いますが、いつも滅茶苦茶な行動で夏子を困惑させ、夏子の友達と恋愛関係になり、夏子を苦しめます。

 それでも月島に惹かれる夏子は、誘われるままにバンドに入り、彼の仲間と共同生活を行うことになるのですが……。

 ひとりでは何もできなかった少女が、型破りの感性を持った少年に導かれるままに成長し、自らの力で居場所を見つけようとする姿を描いた、感動の青春小説です。

文藝春秋BOOKS

藤崎彩織さんはアーティスト「SEKAI NO OWARI」のSaori

作者の藤崎彩織さんはアーティストの「SEKAI NO OWARI」のSaoriさんです。

小説を書くときに使っている名前だそうです。

この『ふたご』は完成までに5年かかったとか。

「SEKAI NO OWARI」のSaoriさんって情報が最初にあったので、この物語が「SEKAI NO OWARI」と重なってしまいます。

個人的には予備知識がない方が作品として楽しめたかなと思いました。

生きづらさを感じる登場人物たち

この物語に出てくる男の子、月島はパニック障害とADHDと診断されるタイミングがあります。

この月島は深瀬さん、主人公の夏子はSaoriさんそのもの。

実は「SEKAI NO OWARI」のボーカル、深瀬さんもADHDと診断を受けています。

アメリカに行くも、パニックになって帰ってきてしまったり、そこからバンドをはじめたり。

夏子もうつ病の薬を飲んだりしています。

それでも一緒にいる2人に、人間らしさや生きることを感じました。

幼稚園から一緒だったというおふたりですが、Saoriさんはきっと深瀬さんとのたくさんの思い出があるんだろうなとこの小説から感じられます。

本当に深瀬さんとSaoriさんがこのようなやりとりをしてるのかはわかりませんが、月島の夏子に対する態度や言葉遣いは読んでいてめちゃくちゃイラつきます。(笑)

深瀬さんとSaoriさんがよく喧嘩をするのはほんとらしいです。

障害について書いた歌

ぼくは一度「SEKAI NO OWARI」のライブに行ったことがあります。

そこで聴いて涙が出そうになったのがこの「銀河街の悪夢」。

深瀬さんが自分の障害について書いた歌。

曲の前振りでは、精神病院にいたときのエピソードを話してくれたのですが、ちょっとお客さんが引くくらいすごい話でした。

自身を変えられずに一日が過ぎ去る……どうにもならない自分への苛立ちを抑えながら呟く、励ましの歌です。

この作品で感動した言葉や表現

 

お前の居場所は、俺が作るから。泣くな

 

中学生の時に月島が夏子にへ告げた言葉。かっこいい。この言葉のおかげで、夏子は月島と一緒に入れたのかなとも思えたりします。

 

なんだろうこの世界は。なんだろうこの世界は!
玄関から、少し進んで歩いたところまでの、なんてことない十メートル。
十四歳の私は、恋に落ちたのだった。

 

恋に落ちた時に表現が素敵すぎてびっくりしてしまった。
「恋に落ちる=世界が変わった」という表現がこれ以上ないくらいに伝わってきます。

 

頑張れた方がいいに決まってるじゃないか。

 

どうして頑張れないのか。そんな経験をしたことがある人にはすごく刺さる言葉だと思います。自分だって頑張りたいのに頑張れない。本当に悔しいし、自分が一番わからなくて辛いんです。

 

精神の病気というのは厄介だ。どこからが病気で、どこからが性格なのか、素人にラインを引くことが出来ない。月島が見えない何かを闘ってるその努力が、目に見えたらいいのに。

 

目に目ないからこそ、精神の病気がある人は自分には何ができて何が出来ないのか、プライドを傷つける部分もあるし難しいけど、伝えることが大事だと感じました。精神の病の経験がある1人の人間の意見です。

 

骨折を素人が治せないように、精神の病気も素人が治すことは出来ない。
骨折した人が早く走れないのは、性格の問題ではないということ。
盲腸の人がご飯を食べられないのは、趣味の問題ではないということ。

 

全ての人に持って欲しい感覚ですね。いろんなことが受け入れられるようになったこの時代だからこそ、もっと多くの人にちゃんと届いて欲しい。

Twitterでの感想

 

 

ほんとに感情移入しまくりの作品です。

 

 

「生」を感じる作品。きっと人間らしさがこの作品には詰まってるんだと思います。

 

 

こんな素敵な紹介文あったら借りちゃいますよ。
ぼくもいつか自分の本棚の本の紹介文書きたい(笑)

 

 

エピソードオブセカオワ。ほんとにそうです。

 

 

あとがきがまたいいんですよね。繊細さ。

少し生きづらさを感じるかもしれませんが、この絶妙な表現ができるのは繊細さだからこそかもしれません。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました!

この作品は大切な人を大切にすることの難しさや苦しさを感じることが出来ます。

ぜひ読んでみてください。

感想や質問はこみーのDMにいただけると嬉しいです。

ではまた!

書評小説
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