性には命の豊かさと、世のなかの決め事を超えるスリルがある
sex あらすじ
好きな人とたくさん――。夜の街灯の下で。学校の図書館で。入院中の病室で。異国の地で。最後のデートで。まぶたの裏で、なにものかに祈りながら。性がゆたかに満ちるとき、生は燦然とかがやく。だからセックスは素晴らしい。頭と心と身体が感じる最高の到達点を瑞々しく描いた、すべての男女に贈る感動の十二編。(講談社文庫)
sex 石田衣良さんによる官能小説
『sex』は文字通り、「sex」がテーマの短編集です。
はじめて官能小説というものを紙媒体で読んだのですが、かなりエロくて興奮しました。
作中でも、「なんでみんな写真やビデオが好きなんだろう。文字のほうが断然いいのに」というセリフが出てきます。
いわゆる18禁のエロい表現がたくさんある官能小説ではなく、大人の恋愛の延長にあるエロさがとてもよかったです。
sex こんな人におすすめ
完全に勃たない人、女性に触れることができない人、外でするのが好きな人。
『sex』では12の物語があり、それぞれ性について悩んでいる人も多く存在しています。
性について悩んでいる人は刺さる作品なのではないかなと思いました。
ぼくのように、官能小説を読んだことのない人も読みやすい作品なのでおすすめです。
石田衣良さんの『娼年』は映画化されていて、松坂桃李さんが主役を演じたことから有名になりました。
映画は見たけど、石田衣良さんの文章を読んだことのない人はぜひ読んでみてください。
sex 心に刺さった言葉
泣きながら腰を振っているのは、他人がみたらさぞ滑稽な姿だろう。だが、人間というのはそういう生き物ではないだろうか。熱に浮かされ馬鹿げた台詞を口にし、滑稽で醜い格好で繋がり、ほんのわずかな液体を交換して、かけがえのない命を生み出していく。
性行為のことを冷静に考えるとこういう表現にもなるのかとインパクトがあった文章でした。
女の体はひとつの国だった。山があり、谷があり、森と泉があり、なだらかな岡と広い平野がある。いくら探っても飽きることはないし、すべてが丸いのに同じ曲率の丸みはひとつとしてない。探り切ることがかなわない王国なのだ。
女性のことをこんなふうに表すことができるなんて、語彙力というか想像力というか、ぼくにはできないなと感じました。
どれだけ偉いか知らないが、人間の男はみんな動物なんだぞ。どうして、発情している女が近くにいるのにわからないんだ。ちゃんといいにおいがするだろうが。そっちのほうが、よほど自然の摂理に反している。みんな足りない頭で難しいことばかり考えて、自分にペニスがあるってことを忘れてるんじゃないのか。
どうすればわかるようになるんだろう。
sex 感想
『sex』石田衣良
性に本気になる様々な人達を通して生を感じられる1冊。余分な設定、過剰な性描写が無く、純粋にsexを描く。性に対する透き通った語り手の価値観は美しく神秘的とすら表現しても過言ではない。そこに嘲謔の意は無く、この言葉さえも偽りと取られてしまうのでここで筆を置く事とする。 pic.twitter.com/L6X5bailzQ— 蔵書印/読書account📚 (@zousyoin) April 17, 2021
そうなんです。『sex』は何もバカになんてしていないんです。真剣な物語。だからこそすっと入ってくる。
「sex」石田衣良
題名の通り、sexを描いた短編集
思っていたより生々しくて
帯にある「美しく、やらしく、可愛らしくて、涙がでる。」そんな話でした。
あとがきまで、ちゃんと読んで欲しい「ダガーナイフ」が1番好きでした
フォロワーさんが激推してたので 出会えました ありがとうございます。 pic.twitter.com/qTxEHrXr1l
— ジン (@jin_book_coffee) September 4, 2020
美しくやらしいってすごい言葉ですよね。丸く尖るみたいな…違うかな…
あとがきほんとに素晴らしかったです。
sex/石田衣良
多くの人が悩みや不安を抱えていて、でも避けては通れないものなのかなと思います。身体だけでなく、心がつながる、本当に大事な人とお互いを尊重しあって、想いあう。それぞれの生活や関係の中にいろんな愛の形があるのだなと思いました。#読了#読書好きと繋がりたい pic.twitter.com/c2zt4UfSv1— muu@読書 (@sisyma0430) February 26, 2018
身体だけではなく心がつながるって、伝わる人と伝わらない人がいるのかなと思います。いろんなことを経験したいですね。
まとめ
『sex』のあらすじがとても刺さりました。
セックスは気持ちいい。セックスはかわいい。セックスは愛おしい。セックスには感動があり、涙もある。セックスはあらゆる接続詞と無理なくつながり、豊かな物語を持つ。それは男女(同性の場合ももちろんあるけれど)を結びつけ、新たな命を生み出す神聖な力です。
日本の性教育について、ネットではいろいろ言われていますが、やはりちゃんと大人が子どもに対して教育をしないと、「セックス=なんとなくいやらしいこと」というイメージが消えないまま、大人になってしまうのかなと思います。
このような物語や作品を通して、しっかりとセックスについて学ぶ機会があればいいなと思いました。
石田衣良さんの文章、とても静かで大人の雰囲気がありました。
他の作品も読んでみようと思います。
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