作品への向き合い方が変わった4月。
行きたくない アンソロジー
私の本当の世界は、私が決めるよ。
この作品は6名の作家さんによる短編集となっています。
友人に誘われて行きたくない。
教員として学校に行きたくない。
ロボットとして仕事に行きたくない。
恋人に会いに行きたくない。
この世界から新しい世界へ行きたくない。
〜ないと、日本人にとってネガティブな印象の言葉ですが、この物語では「行きたくない」がすごくポジティブに聞こえました。
死神の精度 伊坂幸太郎
下らないすれ違いは、人間の得意とするところではないのか
この物語では、死神が普通の人間の姿で登場し、仕事でひとりの人間の「死」について1週間調査をします。
「吹雪に死神」は吹雪が吹き荒れる山奥の中で起こる殺人事件に千葉が関わることにより、予想外な展開が繰り広げられるお話。
「恋愛で死神」はと片想いをしている男性と、ストーカーの被害にあっている女性のお話。(あんまり死神は出てこないかも)
「旅路を死神」では千葉が指名手配中の容疑者の運転手役になってしまい、なぜ指名手配になったのか、事件の真相が旅をしながら明らかになっていくお話。
それぞれ異なった状況で死神が登場し、さまざまな年齢や性別の人間と関わっている死神は面白く、人間がよりいっそう人間らしく見えてきます。
正欲 朝井リョウ
飽きた。もう卑屈にすっかり飽きたのだ。
生きていきたいのだ。この世界で生きていくしかないのだから。
多様性とは、都合よく使える言葉ではない。自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ。時に吐き気を催し、時に目を瞑りたくなるほど、自分にとって都合の悪いものがすぐ傍で呼吸していることを思い知らされる言葉のはずだ。
作中ではある登場人物の言葉で「多様性」という言葉がこのように表現されています。
ここ数年の間でよく聞くようになったこの「多様性」という言葉ですが、本質を捉えられていないのに言葉だけが一人歩きしているようにも感じます。
この作品は「多様性」について深く描かれていますので、興味のある方はぜひ。
三行で撃つ 近藤康太郎
抜き書きをすると、自分が〈分かる〉。
抜き書きをすると、自分が〈変わる〉。
文章を書くことに対して何か漠然とした不安がある人は迷わずこの本を購入してください。
絶対にあなたの不安は解消されます。
なぜならぼくがそうだったからです。
この作品には「書き方」ではなく「生き方」について書かれています。
今までいかに自分が甘えて生きてきたか、痛感させられました。
消滅世界 村田沙耶香
世界で一番恐ろしい発狂は、正常だわ。そう思わない?
この作品の世界では結婚という制度はあるものの、夫婦でセックスをしません。
男も女も性処理は好きなアニメや漫画のキャラクターなので、「ヒト」を好きになったことがあるのかという会話すら出てきます。
「家族」とは「結婚」とは。
一緒に住んでいる異性が、自分ではない人と恋をしていたり、デートをしていたりと、現代では考えられない感覚を味わってみませんか?
まとめ
『三行で撃つ』を読んでから、小説だけでなく、映画やアニメ、音楽にも意識して触れるようになりました。
興味のないことには自分からは入っていけない性格なので、ぜひ好きなものの世界へぼくを連れていって欲しいです(笑)
おすすめの作品がありましたら教えてください!
ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!
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