2021年はたくさんの本を読みました。
蜜蜂と遠雷 恩田陸
ようやく俺はスタートラインに立った。これからもすっと、あの場所を、音楽を、焦がれて、焦がれて、切望する。
『蜜蜂と遠雷』は3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクールに出場する4人の物語です。
天才3人組に対して、天才キャラではなく、コツコツと積み重ねてきた実力で勝負している様子が描かれているキャラクターに親近感が湧いて、応援したくなりました。
音楽一本で生きていくと決めている人と違って、家庭ももちながら、このコンクールに参加していて、すごく現実的。
コンクールの参加者最年長の彼の言葉には重みがありました。
ぜひ彼の言動に注目して読んでみてください。
小説の神様 相沢沙呼
強くなくていい。
失敗しても、嫌われても、挫折を繰り返してしまっても。
君は、主人公になってもいいのだと、ページを綴る誰かへ、そう伝えるために。
主人公は売れない作家。
自分の書きたいものを書いても売れないことがわかっていて、読者が何を読みたいかを考えているような性格です。
ヒロインは主人公とは真逆の運動も勉強もできる天才美少女。
そんな2人が一緒に小説を書く物語となっています。
この作品は2人の意見がめちゃくちゃぶつかり合います。
取っ組み合いながらお互い思っていることを言い合うことも。
『小説の神様』には人間の生々しい感情が溢れていて、気づいたら物語に引きずり込まれています。
高校生の小説家ならではの気持ちの表し方がとても美しかったです。
52ヘルツのクジラたち 町田その子
わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ。
この作品は2021年の本屋大賞にノミネートされています。
この作品のキーワードをピックアップしてみました。
愛、友情、虐待、孤独、親子
このキーワードだけでも生々しさが想像できると思います。
読んでいて
どうしてそんなこと言えちゃうの?
なんでそんなことできるの?
と目を背けたくなるシーン、共感しすぎて目頭が熱くなる場面が、何度かありました。
立ち向かったり、時には逃げ出してしまう主人公の姿に、自分を重ねることができるお話です。
正欲 朝井リョウ
多様性とは、都合よく使える言葉ではない。自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ。時に吐き気を催し、時に目を瞑りたくなるほど、自分にとって都合の悪いものがすぐ傍で呼吸していることを思い知らされる言葉のはずだ。
『生欲』は「多様性」がテーマの作品です。
近年は多様性が…とよく言われますが、それを如実に表している作品でした。
多様性を認めようって言葉、なんか軽く偽善者っぽく感じますよね。
多様性とはなんのか、痛いくらいにわかるような物語です。
三行で撃つ 近藤康太郎
抜き書きをすると、自分が〈分かる〉。
抜き書きをすると、自分が〈変わる〉。
『三行で撃つ』をぼくが読んで一番伝えたいのは抜き書き帳。
本を読んで、いいまわし、語彙、文体、腑に落ちた論理、気に入ったナラティブはとにかく線を引きまくる。徹底的に汚す。
ここはとにかく重要だと思った箇所は、ページを折っていく。
読み終わった本は、しばらく放っておく。頭を冷やす。1ヶ月もしたあと、ページを折った場所だけ開き、線を引いた箇所を再読する。
成熟後も変わらず感動する文章やロジックは、ある。これを、抜き書きするのである。
筆写って正直めんどくさくて時間がかかる作業ですよね。
即効性はないが3年もすると変化が見られると書いてありました。
ぼくも少しずつ始めていますので、一緒にやってみませんか?
そして、生活はつづく 星野源
本当に優秀な集団というのは、おそらく「ひとつでいることを持続させることができる」人たちよりも、「全員が違うことを考えながら持続できる」人たちのことを言うんじゃないだろうか。
『そして、生活はつづく』を読んで、星野源さんはすごく繊細な人なんだなと感じました。
かくいうぼくも繊細さんと呼ばれる部類です。
他人のちょっとした一言が頭から離れなかったり、天気がいいだけでその日がハッピーに感じたり。
そんな繊細な人こそ、表現する意味がある、仕事になると言ってくれていて、とても心強かったです。
地球星人 村田沙耶香
そのいち、他の子と手をつないだりしないこと
そのに、寝るときは指輪をつけて眠ること
③なにがあってもいきのびること
『地球星人』を読んだ感想は率直に言うと「ぶっ飛んでる」。
世の中の違和感に共感できることもあり、途中、動物(ポハピピンポボピア星人)として生き始める主人公たちが本来の姿でもあるのかなと思えてしまいました。
作中ではポハピピンポボピア星人は伝染すると言われていますが、本当に周りにポハピピンポボピア星人しかいなかったら伝染する気がします。
流浪の月 凪良ゆう
わたしと文(ふみ)の関係を表す適切な、世間が納得する名前は何もない
『流浪の月』は2020年の本屋大賞を受賞をしています。
2022年に広瀬すずさんと松坂桃李さんのW主演で映画化されることが決定しました。
この人は悪くないんです。優しい人なんです。何もしてないんです。
そう訴えるも誰にもわかってもらえず、被害者として扱われてしまう主人公の更紗。
本当に何も悪いことをしておらず、犯罪者として扱われてしまう文(ふみ)。
何年経っても誰にもわかってもらえず、犯罪者と被害者という烙印を押された2人の悲しみが伝わってくる作品となっています。
また、同じ夢を見ていた 住野よる
人生とは、お弁当と一緒よね。好きなもの全部は詰め込めない。
『また、同じ夢を見ていた』の主人公は小学生。
学校の国語の授業で「幸せとは何か」を考える時間があり、周りの大人と一緒に幸せについて考える物語です。
この作品には「人生って〇〇みたいなもの」「幸せとは〇〇」というフレーズがたくさん出てきます。
幸せについて考えるきっかけになる素敵な本です。
取材・執筆・推敲 古賀史健
「世界中を敵に回してでも、私だけはあなたの味方につく」を前提としている人間が、ライターだ。
『取材・執筆・推敲』というタイトルですが、ぼくは「取材」とガイダンスに心を惹かれました。
近藤康太郎さんの『三行で撃つ』もそうだったのですが、文章を書くための本は生き方に繋がります。
『取材・執筆・推敲』は間違いなく、ぼくのバイブルとなる本です。
まとめ
2021年は約70冊の本を読むことができた1年でした。
特に偏った作家さんもいなく、小説やエッセイ、ビジネス書など、さまざまな本を読むことができた1年です。
友人に依頼して、このブログのロゴを作ってもらいました。
「開いた本から芽が出ているこのロゴは、自然溢れる温かいまちで活動されているこみーさんが、大好きな本を通して、人や本との繋がりが広がっていき、新たな想いや可能性が芽生えていってほしい」と友人はコメントをくれました。
今このロゴを用いて名刺も作成しています。
2022も引き続きたくさん本を読んで、読書ライフが広がっていき、心が豊かになったらいいなと思います。
2022年もよろしくお願いします。
ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!
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