千葉県市原市の吉野台団地という郊外団地に構える建築設計事務所kurosawa kawara-ten。
その建築設計事務所のアルバイトフタッフである千葉大の建築学科の卒論・卒制発表会に参加しました。
市原市の郊外団地で活動するkurosawa kawara-tenの取り組みと、kurosawa kawara-tenに来る千葉大生の卒論・卒制発表会についてお話しようと思います。
建築設計事務所kurosawa kawara-ten
kurosawa kawara-tenは千葉県の市原市の西国吉にある吉野台団地の一角にある建築設計事務所です。
代表の黒澤さんは歳は離れますがぼくの中学校の先輩。
自分の地元がヤバイと感じ、地元にいながら地域のことを考えている人がいることに、出会ったときはお互い驚きでした。
ぼくが普段働いているコワーキングスペースの設計をしてくれたのも kurosawa kawara-tenです。
kurosawa kawara-tenのホームページはこちらから。
今回は3人の発表があり、どの研究もとても面白いものでしたので紹介していきたいと思います。
コミュニティについての研究
1人目の発表はコミュニティビジネスについて福島県の南相馬市の小高区を事例として研究した論文でした。
復興に当たってコミュニティスペースの建設や空き地空き家の利活用に取り組んだそうです。
結論から言うと、コミュニティビジネスは最初の立ち上げ段階が最も厳しく、そこへ対する支援が必要であり、外部と内部の交流空間が必要であることがわかりました。
近年増えているコミュニティの研究。
研究結果が出るまで時間がかかるし、人間の行動や都市基盤、建築や政治など多くの要素が複雑に絡まっているので、とても難しい研究です。
話を聞いていて感じたのは、コミュニティは何か共通のマインドがあると結束力が強くなることでした。
この地域は辛い経験をみんながしていて、強制的にゼロになったしまったものみんなで復興しようとする共通のマインドがあることで、強い結束力があるんだと感じました。
この地域はボランティアや研究に対して抵抗の姿勢を見せずに受け入れてくれたそうです。
「もしかしたら辛い経験や危機感のようなものがないと、人間は動かないかもしれないね。」
質疑応答ではそんな会話もありました。
暮らしの提案の研究
汐留のビル群の真ん中と千葉県いすみ市の田んぼの前に拠点を作り、そこで田舎の生活をしながら都内でそれを販売したり小商で生活する、モバイルハウスという暮らしの提案の研究でした。
寝泊りができるモバイルハウス。
モバイルハウスが広がれば、かつては定住しないと成り立たなかった仕事(稲作など)が、定住しなくても成り立つのではないかという仮説がありました。
汐留にあるのは積層されたオートキャンプ場をイメージしたものです。
建築的な視点として多拠点での暮らしのメディア的な役割や、ポストモダンに踏み込むことで得られたものなど、研究者自身に様々な課題もありました。
しかしながら、成田空港にこのモバイルハウスが置いてあって観光で来た外国人が使えたら面白そう、もしかしたら今後は今話しているこの空間ごと移動する時代がくるかもしれないなど、いろんな未来を想像することができました。
住居と外のあり方に関する研究
現在の家はドアや壁などで空間がしっかりと区切られていることが多いですが、昔の家の構造は襖などで仕切られていて完全に区切られていませんでした。
このことから昔の家は開放的で、現代の家は閉鎖的ではないかと仮定。
実際に行徳のある通りの家と道路に面している障害物や境界について調べてみると、予想とは逆に現代の方が道路や外に対して開放的だということがわかりました。
これは昔は外への意識が強かったが、現代は土地の面積をどれだけ内側に使えるのかに特化し、外へ対してはあまり意識しなくなってのではないかと推測します。
確かに今は通りから家の様子がわかる家が多いと思います。
昔は門や垣根といった障害物で道路と家にい何かしらの境界がありました。
この調査、めちゃくちゃ面白いなと思いました。
これを踏まえて、言葉のいらない空間的なコミュニケーションもあってもいいのではないかと、住居と外との空間のあり方を提案をした研究となります。
空間に関して今回は受け手のことについての研究だったので、空間へアクションする側の心理も考えられたら面白いなと感じました。
「代官山のヒルサイドテラスを既存の住宅で表現してる感じだね。」
と代表の黒澤さんがヒルサイドテラスの本を使って説明してくれました。
最後はみんなでバーベキュー
最後はみんなでバーベキュー!
火を囲みながら、建築やまちについて話すのはとても有意義な時間でした。
金柑のはちみつ漬けや茹でどんぐりやローストハニーどんぐりなど、里山の食物を使った料理(?)も味わうことができました。
集まってるのはほとんどが20代前半。
社長が火を起こすというフラットな関係がとても心地良かったです。
大学よりも大学
この発表会に参加してここは大学よりも大学だと感じました。
「コメントとか講評のレベルが違くない?」
「ゼミ内でもこんな話できない」
発表会が終わった後はこんな声も聞こえてくるくらいです。
大学の時にこんなゼミに所属したかった!
また、1年前の自分と比べて、地域で活動する実践者として現実的に落とし込んで発表を聞くことができて、成長したなあと感じられました。
今後のkurosawa kawara-tenの活動に注目です!
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