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書評:『魂の退社 会社を辞めるということ。』 仕事について考えさせられるエッセイ

エッセイ

 

組織は強い。しかし強いゆえに弱いのです。事なかれ主義、長いものには巻かれる。人間の持つ本質的な欲や弱さが集団になるとたちまち顕在化し、組織そのものを蝕んでいく。

 

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魂の退社 あらすじ

出世競争や「もっと給料を」という欲望からもう自由になりたい―― 人生の折り返し地点にさしかかり、そんな思いが日に日に強くなる。だが会社を辞めて食べていけるのか?お金がなくても幸せな人生とは? 大手新聞社社員が「50歳、夫なし、子なし、無職」になるまでの悪戦苦闘を明るくリアルに綴る。すべての働く人に贈る、勇気と希望のエッセイ。

幻冬舎HP

日本は会社という組織があるから回っている

『魂の退社』には、退職の手続きを通して、日本は会社社会だったと気づいたというエピソードがあります。この部分はとっても勉強になったので、詳しく紹介しようと思います。

退職金の税金

退職金の一部は税金の支払いを「控除」されるのだが、この控除額は、勤続年数が長いほど多くなる仕組みになっているのだ。(中略)制度としては、一つの会社にずーっと勤め続けしがみつくほど税金を払わなくていい仕組みになっているのだ。
つまり、会社から自主的に自立、独立する人間には国家からペナルティーが科せられるのである。

あと数年働いたら退職金もっと貰えたのにって言葉を聞いたことがあります。この金額が数万円とかではなく、何百万円とかのレベルだったら、考えてしまいますよね。時間とお金と、難しい選択です。そして、独立する人には優しくない社会。会社に縛られない働き方が増えているこのご時世、もっと会社員以外の保障が充実したらいいなと思いますね。

失業保険

自己都合の退職であっても申請をすれば、150日間ももらえるのが失業保険です。

以下がこの本に書かれている文章。

調べてみると失業保険はなんと、別の会社に就職しようとしている人間だけが受け取ることができる保険であり、個人で生計を立てようとしている人間には受給資格がないのだ。つまり失業保険とは、我が国の大人を「会社」というシステムに押し込めるためのシステムだったのである!!自分の足で立とうとしている人間は、それまでいくら保険料を納めてこようが失業後に必要な保護を受け取ることができないのだ。

確かに、ろくに働こうとしていないのに失業を保険をバンバン出していたら、国は破綻してしまいますが、これから頑張ろうとしている人への保障がないのはつらいですよね。しかもたくさん保険料を払っていたらなおさら辛い。なんだったんだあの税金は、って思ってしまいます。

国は会社が頼り

なんで国が会社に所属しろと言ってくるのかというと、健康保険や年金などの国の制度がもう破綻してるからなんですね。会社という制度があってギリギリなのです。

国民保険や国民年金の滞納率って4割とかあるんですね。半分近くが収めてない。制度として破綻しているようにしか思えないです。

日本国が成り立っているのは「会社」があるからなんだ。 国家なんてメじゃない。会社こそが、国民の信用も、暮らしも、つまりは我々の「命」を保障してくれているのである。

どうやってお金が動いているのかを知ることは、日本で生きる上で、全員が知っておくべきことだと思います。

ぼくはお金のことがまったくわからずに、個人事業主として社会に飛び出してしまいました。お金のことは誰も教えてくれないので、自分で勉強しましたね。『貯金すらまともにできていませんがこの先ずっとお金に困らない方法を教えてください!』は個人的におすすめです。

『魂の退社』でもこうやってお金のことを書いていてくれているので、とても勉強になりました。この記事で書いたことはほんの一部ですし、切り取ってお伝えしているので、そのまま間に受けずに興味のある人は自分で調べてみてください。

魂の退社 心に残った名言

私たちは自分の人生について、いつも何か恐れている。負けてはいけないと自分を追い詰め、頑張らねばと真面目に深刻に考えてしまう。しかし真面目に頑張ったからその分何かが返ってくるかというと、そんなことはないのである。そしてそのことに私たちは傷つき、不安になり、また頑張らねばと思い返す。そして、その繰り返しのうちに人生は終わっていくのではないかと思うと、そのこともまた恐ろしいのである。

わかるなーって思った文章。頑張ったから褒めてもらえることって大人になったらあまりないよなーって思いました。「褒められる=成果や結果がセット」となってる自分がいました。この思考もよくないのかもしれないですね。

会社に依存しない自分を作ることができれば、きっと本来の仕事の喜びが蘇ってくるということだ。
仕事とは本来、人を満足させ喜ばせることのできる素晴らしい行為である。人がどうすれば喜ぶかを考えるのは、何よりも創造的で心躍る行為だ。それはお金のことや自分の利益だけを考えていては決してできないことである。

仕事とは、突き詰めていえば、会社に入ることでも、お金をもらうことでもないと思うのです。他人を喜ばせたり、助けたりすること。つまり人のために何かをすること。それは遊びとは違います。人に喜んでもらうためには絶対に真剣にならなきゃいけない。だから仕事は面白いんです。苦労もするし、思い通りにいかなくても逃げ出せない。しかしだからこそ達成感もあるし、仲間もできるし、人間関係も広がっていく。助けた人から今度は助けられる。そのすべては、遊んでいるだけでは手に入らないものばかりです。

このふたつの文章は、仕事とは何かを考えさせてくれました。相手がいるんですよね、仕事って。そして、相手に喜んでもらうことが価値を与えるってことが仕事になるんだな、と。自分がやりたいことではなくて、相手が喜んでくれること。このことをちゃんと意識して仕事をしようと改めて思いました。

豊かさは依存を生む。人口の爆発的な増加を共にみんなが等しく成長の果実を受け取ることができた時代が続いた結果、「長いものに巻かれていれば安心だ」という思考回路が生まれた。敷かれたレールの上にいることが重要だった。(中略)
つまり経済成長は、日本人の自立ではなく、依存を生んでしまったのではないか。そして今や、「あったら便利」を生み出すことすら限界にきている。ものを買おうとしない人にもものを売らなければならない。そこで繰り広げられているのが、法律ギリギリの商行為である。

今の社会はものにあふれてますよね。何が自分に必要なのかを見極めて、取捨選択をする必要があると思っています。数年前からそうだろうけど、今はもう自分でレールを敷いていくしかない時代なのかもしれないですね。

中にずーーーっといる人は、外に出て行った人に対して、心のどこかで「辞めて食っていけんの?(絶対食っていかないだろ)」という()の部分を持っている。その()を察知すると、私たち、会社を辞めた人間の目はギラギラと燃え出す。「なんでわざわざ出版社を辞めて稼げないライターになんかなるの?」と聞いてきた朝日新聞社の人、覚えてます、これからもずっと。時折、思い出して頑張ります。

解説の武田砂鉄さんの言葉。近い人ほど心配してくれてこういう言葉をかけてくれるんだと思います。でも、1番お金のことを気にしているのは本人です。そして、そうやって心配をしてくれる人は、仕事の内容じゃなくて、お金を稼げているかどうかしか物事を判断してくれません。悔しいですよね。こういう文章は勇気がでます。

まとめ

仕事とは相手を喜ばせることである。

相手がいるということは、そこには相手との関係が出てくるし、会社という組織でもチームでも、はたまた個人事業主でも、最終的には人対人の話になると思うのです。

ぼくはこの作品を読んで、依存、執着、期待、信頼、信用、愛など、いろんな概念のことが頭に浮かびました。

仕事だから、ビジネスだから。そうやって考えることで、割り切りやすいことが多いのだとと思います。

うまく言葉にできないので、この辺りで終わりにしようと思いますが、目の前の人を喜ばせること、目の前の人のこととちゃんと向き合いながら仕事をしていきたいです。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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