2021年2月は新たなジャンルのエッセイが多かったです。
むかし僕が死んだ家
誰もがむかし自分が死んだ家をもっているのではないか。
ある1冊の日記を読み解き、謎を解明していく作品。
日記という「ある1人の主観的な情報」から、その当時の状況を理解しようとしている光景は、自分も一緒に推理してるかのように感じることができます。
謎が次々と生じ、それを一つずつ解決していくので、飽きが全くなく一気に読めてしまいます。
特に伏線の回収が素晴らしいので、多くのことは話せないのが残念です。
ミステリー好きにはたまらない作品なので気になる方はぜひ。
52ヘルツのクジラたち
わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ。
この作品のキーワードをピックアップしてみました。
愛、友情、虐待、孤独、親子
このキーワードだけでも生々しさが想像できると思います。
読んでいて
どうしてそんなこと言えちゃうの?
なんでそんなことできるの?
と目を背けたくなるシーン、共感しすぎて目頭が熱くなる場面が、何度かありました。
立ち向かったり、時には逃げ出してしまう貴瑚の姿に、自分を重ねることができる、そんなお話です。
小説の神様 あなたを読む物語
夜空に流れる星を美しいと思う感性と、退屈だと思う感性がある。
そこにあるのは、星が落ちているという事実だけ。
そこに何を見出すか、全ては感受する者の心のありようにかかっている。
この作品は目次から面白さが伝わります。
この作品(上下巻)の目次をご紹介。
第一話 物語の価値はどこにあるのか?
第二話 書かない理由はなんなのか?
第三話 物語は人の心を動かすのか?
第四話 心が動いたその後で
第五話 読書に意義は存在するか?
第六話 物語は誰のために生まれるのか?
読書の好きならこの目次を見ただけでワクワクしませんか?
「なぜあなたは物語を書くのか」という人生について問われているような質問の答えが、ここにはあるような気がします。
小説の神様 あなたを読む物語 上 /講談社/相沢沙呼
小説の神様 あなたを読む物語 下 /講談社/相沢沙呼
出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと
なんだ、同志はこんな近くにいたのか、早く言ってくれよ
出会い系サイトを通していろんな人に出会う菜々子。
そこでたくさんのことを経験します。
菜々子は出会い系サイトであった人だけではなく、職場の人でも面白い人がいると気づきます。
少し扉を開けば近くに同士がいたと。
自分の近くにも同じ悩みや同じ希望を抱えている個性豊かな人がいるんだと。
この作品を読んで
「自分と同じような仲間になる人は意外と近くにいる」
ということをぼくは感じました。
モヤモヤしている時に人に出会い、その出会いがきっかけで考え方や気持ちの持ち用が変わる、というようなことは経験したことはありませんか?
この小説はその過程がぎゅっと濃縮されている作品です。
出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間の /河出書房新社/花田菜々子
大人の進路教室。
「なりたい職業名」×「マイテーマ」×「実現したい世界観」
あなたが探しているのは、この中のどれですか?
多くの人が働きます。仕事をしてお金をもらっています。
自分の仕事に満足している人ってどれくらいいるんでしょう。
この作品の3章構成となっています。
1章 正しい選択ってなんですか?
2章 働くってなんですか?
3章 目標がないとだめですか?
痛いところを突いてくるようなタイトルに加え
自己実現難民
勉強?それとも仕事?
お金ではない何か
など細かな見出しも。
仕事について悩んでいる人、新卒の方や社会人3年目の方だけなく、役職についた方や部下がいる方など、年齢に関係なく考えさせられる作品となっています。
ほんとはかわいくないフィンランド
この国だってリアルな生活が、憂いが、鬱屈が、貧困が、嫉妬が、差別が、そして生身(文字通り)の人たちが渦巻いている。
フィンランドの男性と結婚し、フィンランドで暮らしている女性のお話。
フィンランドでの暮らしがおもしろおかしく物語になっています。
物を大切にする文化や男女平等が浸透している文化など、この本にはフィンランドの暮らしが嘘偽りなく描かれています。
フィンランドや北欧の暮らしに興味がある方はぜひ。
リカ
「どうも!はじめまして!/
メッセージ、読みました!僕は本田たかお、35歳のサラリーマンです/」
この作品は最初に出会い系サイトにハマるサラリーマンのお話から始まります。
どうやって女の人とメッセージを長く続け、会うところまで持っていくのかが書かれていたので、その時代にはすごく新しい感覚なんだろうなと読んでいました。
しかし、「リカ」という女性と会う約束をするページから一気に状況が変わります。
物語の展開は加速し、思わず一気読みしてしまいました。
まとめ
2月はミステリー、エッセイ、ホラーなど、さまざまなジャンルを読みました。
やっぱりミステリーは一気読みしやすい作品だと実感。
エッセイは考えさせられることが多かったです。
3月は少しバタバタしだすかもしれませんが、同じペースを維持できたらと思います。
ご感想や質問はこみーのTwitterのDMか質問箱にいただけると幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!
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